交通事故の症状

交通事故による衝撃によって頭と首がムチのようにしなり、前後左右に激しく揺さぶられることにより発生します。むち打ち症では、首の曲げ伸ばしに関与する首の骨のC4-C5-C6間に損傷が多く起こります。
「むちうち症」としてひと括りにされることが多い外傷性頸部症候群ですが、厳密には5種類に大別されていて、主な症状にも違いがあります。それを、鑑別せずに施術するとなかなか治りません

むち打ち症(外傷性頚椎症候群)の種類

頸椎捻挫型
むちうちの7~8割が、この頸椎捻挫型だと言われています。頸椎(首の骨)の関節や周りの筋肉・靭帯が傷付いて、捻挫を起こしたものです。炎症が起きて神経網に刺激をうけて症状として現れます。主な症状としては、首や肩・腕・背中の痛み、首や肩に動きの制限などがあります。

神経根症状型
頸椎の椎間孔が変形してしまい、神経の通り道が狭くなることで発症するのが神経根症状型です。頭痛、後頭部のモヤモヤ感やあちこちの痛み、手足のしびれなどの症状があります。 時には握力低下がみられることがあります

脳脊髄液減少症型
脳脊髄液という髄液が頭の中にある脈絡叢というところで作られているのですが、衝撃によってそれを覆っている、くも膜という膜に傷が付き、そこから少しずつ漏れてしまう状態です。 むちうち症が何年も続いて治らない方はこの脳脊髄液の漏れが原因という可能性があるとも言われています。 立っていたり座っていたりすると起こる頭痛(横になるとラクになる事がある) 頭から手足まで出てくる様々な痛み 疲れやすい、睡眠不足、常にダルい 天候に左右される頭痛やめまい、耳鳴り、自律神経症状 集中力や思考力低下、女性では、月経困難など この他にも様々な症状などが出現します。

脊髄症状型
頸椎の中の脊髄がダメージを受けてしまうことで、下半身のしびれなどの症状が出ます。場合によっては内臓に異常が起こり、頻尿や下痢・便秘などの膀胱直腸障害の症状が出る場合もあります。腱反射の亢進、下肢の痺れや知覚異常を起して歩行困難となる事もあります。

バレー・リュー症候群型(頸椎交感神経症候群)
頸椎を通っている自律神経(交感神経)が、ダメージや刺激を受けている場合や斜角筋やその他の頸部筋群の過伸張と断裂・損傷により引き起こされるとされると考えられています。痛みだけでなく、体が疲れやすく、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、目のかすみなどの症状が出るのが特徴です。

最新のむちうち症の評価基準について

WAD(Whiplash-Associated-Disorders)の分類(カナダ、ケベック州調査委員会)
Grade0 徴候なし
Grade1 客観的徴候なし頸部疼痛、圧痛、こり(筋過緊張)
Grade2 筋・骨格徴候の出現(可動域制限と著明な圧痛)
Grade3 神経学的徴候(深部反射の低下、筋力低下、知覚異常)を伴う可動域制限
Grade4 骨折、脱臼、頚髄損傷